初期の兆候

at03

一般的に2歳になるころ最初の症状が現れ始めます。通常、最初にあらわれる症状は”歩行時のふらつき”と不明瞭な発語ですが、これらは筋肉の調節の障害を意味する”運動失調症”により引き起こされます

A-Tの小児の多くは歩き始めるまでは、特に異常は示しません。ところが歩行しようとするとふらつき、立ち止まっていることも困難で、座っていても体が落ち着かなくなります。こうした症状は2,3年間小康状態を保ち、また改善されることもありますが、歩行、姿勢ともに最終的には悪化します。

さらに時間が経過するにしたがい、多くのA-T小児は異常動作・・・振戦(発作的な収縮が制御できなくなったり、手足が勝手に動いたりする【舞踏病】)、手足を大きくねじる動作(アテトーシス)、姿勢がぎこちなく、ねじれてしまう筋緊張異常(ジストニア)、を発症します。

運動失調症を発症したのち、通常5歳から8歳までの間にもうひとつの特徴である血管の拡張”毛細血管拡張性”が眼球の白目部分に表出します。その年齢を過ぎても症状をあらわさない場合もありますし、生涯症状を示さない患者もいます。

遺伝子疾患であるA-T

A-Tは非常に珍しい病気ですが、男女ともにすべての人種で、世界中のすべての国で発症することが知られています。

A-Tは11番染色体の遺伝子の欠陥が引き起こす、”劣性”の遺伝子疾患です。

2e4414edfa8379a4badd9e92aee18db7_l

A-T患者の両親は自分に症状がなくても、子供がA-Tになる可能性のある劣性遺伝子を保有しています。したがってA-Tの遺伝的経路は予測不可能であり、A-Tに子供が生まれると、両親は大きなショックを受けます。この劣性遺伝子は何世代にもわたって症状なしに静かに伝わり、たまたまこの劣性遺伝子をもつふたりが夫婦となり子供をもうけることで突然、A-Tとして発症するのです。

両親がともにA-Tの原因となる劣性遺伝子保因者の場合、A-Tの子供が生まれる確率は4人に1人(25%)です。A-T患者の健康な兄弟姉妹でもA-Tの劣性遺伝子を保有し、保因者となる確率は3人のうち2人(66%)となります。